toilet_clogged
入社して数か月経った頃、私は同じ部署の先輩の家に呼ばれた。先輩の同期や私の同期の数人が集まり、鍋パーティをすることになったのだ。その先輩はいい人だけど、仕事に関しては手厳しい。私は自分の作った資料を何度もダメ出しされているし、社会人としての心得みたいなものも先輩から伝授されているので、私にとっては優しいというよりも怖いという印象の方が強い。そんな先輩の誘いをむげにすることもできず、私はこわごわと先輩の家に向かったのだった。

だけど予想に反して、プライベートの先輩はとても優しく、他の同期とともに楽しい時間を過ごすことができた。鍋の締めにうどんを入れて湯がくのを待つ間、私はお腹が痛くなってしまったのでトイレを借りることにした。緊張する先輩の家のトイレで、しかも大きい方をするなんて恥ずかしかったけれど、こういうときはさっさと済ませて小だったフリをするしかない。慌てて用を足し、レバーを引いてトイレから出ようとしたのだが、おかしなことに便器の水が流れていく気配がない。おや、と思って便座の蓋を再び開けると…私の顔から一気に血の気が引いた。実家のトイレでもたまにこうなるので、何が起きているかすぐにわかった。何とトイレが詰まってしまったのだ。え?私そんなにすごい量だったっけ?ど、ど、どうしよう…。このまま私じゃありませんて顔でみんなのところに行こうか。いや、バレるだろ。そうだ、スッポンで何とかしよう。あれ、見当たらない。こうなったらもう、白状するしか…。いや、初めての訪問でトイレ詰まらせるなんて、恥ずかしすぎるだろ。

散々悩んだ挙句、私はトイレから出て、身を切る思いで告白したのだ。
「すみません、トイレ詰まらせちゃいました…」